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読むべくして、読む事になった。 「不思議な物語」ゾラン・ジフコヴィッチ
今までの読書遍歴を見るに、私というニンゲンは一般的にいう(一般的というものがこの際に於いて有効に機能するのであれば)オモシロイ、という共通幻想の中にはないのだという事を思い知る。
これは偏に私が一種変わったニンゲンであるとか、人よりも優れたニンゲンであると示唆するものではない。
単純に紐解いていけば、そういったマスで評価されていない物に、美しさを感じ、好んでいるだけに過ぎない。
それは団体行動にマッチしないことに幾分似ている。
なのですべからく、趣向は年と共に変じ、ごく当たり前な顔をして、一貫性のない物を好んできたように思う。
それは自分の世界の変遷であって。自分自身を投影する鏡に他ならない。
例えば10代の初め、私は村上春樹に出会い、その世界に没入する。
周りの友人の中に興味を持っている者が居なかったというのが、読みたいという欲求に一番強く作用したように思う。
何故ならその時期にはもう村上春樹は文壇での地位を確たるものとしていたからだ。
無論当時の私はそれを知る由もない。
それから数年経て、環境も変わり、世界は一変する。そうして私は村上春樹を捨て、フランスの作家ジャン・フィリップ・トゥーサンに傾倒する。
あらかた国内の文学について知った気になったからである。当然の帰結と言えよう。
しかしここで悉くを否定するかのように、トゥーサンの書く物語は理解出来なかった。
それでも理解しているかの様な顔で、好きな作家と上げていた。お粗末な話だと思う。
しかしてなお、私はわからない本、誰の話の端にも上らない本を好んで読んだ。自分の世界が広がりをみせても、だ。
そうして私は次々と理解不能な本を探すハメになる。
ボルヘス、コルタサル、ジョイス、安部公房、池澤夏樹(声優、池澤春菜の実父)阿部和重、円城塔。

詰まる所私の遍歴は、現時点で理解できない物への憧れ。だったに違いない。
世界が広がり、ある程度の事を理解出来るようになった今でも、未だ読書の魅力が衰えていない事を鑑みるに、それは自分が蒙昧であり、無知であることの証左に他ならない。
しかしながら、こういった読書遍歴を顧みて、はたと気付くこともある。
私の趣向は、すでに世界に認知されている物であるということだ。
常に私を取り囲む世界から逸脱しようとしていた私は、どうあがいてもその世界に包囲されて、され続けていたようだ。
なんの脚色も嘘も方便もなく挙げた好きな作家は、全てポストモダンというカテゴリに分類され、更にはスリップストリームというジャンルの境を破壊する事を主とした作品を私は好むらしい。

類型的に、自分がいったいどこの組に属するのかという事を、紆余曲折を経てようやく知ることになった。
それは自分が大人になったであるとか、青春期の終わりであったりとか、好きな表現を引用すれば、自分の癖に折り合いをつける事ができた。といった感じだ。

そういった事を踏まえた上で、今回の作品ジフコヴィッチの「不思議な物語」を書くとすると。
やはりそれは、読むべくして、読んだ。というのがうってつけではないかと思う。
ウロボロスを連想させる一話目の「ティーショップ」
夢と現実、古代と現代が対を成して、そして小さなことが起こる「火事」
オカルティックな未来予知と偶然を無味乾燥に描いた「換気口」

正直な所、新世代のボルヘスというには物足りない。
というのが私の感想だった。
「ティーショップ」は物凄く美しいと思ったけれど、他二作品のうち「火事」は今はまだ良さがわからない。
「換気口」はタイトルは秀逸だと思ったが、それ以外はわからない。
結局のところ現段階では「ティーショップ」の為だけに買ったようなものであると言っても良い程だ。
他二作品に比べて「ティーショップ」は物語を物語で繋いでいき、そうして主人公の物語とは一体何なのだと思わせる所が素晴らしく美しいと感じた。
そこは如何にもボルヘスティックであり、更には洗練された設定がなお現代的だと印象付けた。
しかしこの一作品だけの為の対価として、この本を買うということは一般的にはオススメできない。
誰かに借りるか、どこかで借りるか、立ち読みで済ますのがより良い方法なのではないかと思う。
或いは誰かがおもむろに話し始めた話がどこかで繋がって、偶然にも同じ体を成すかもしれない。
それを期待してはいけない程、世界は未だ詳らかになっていない筈である。


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